高分子化學
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織物の防皺性について
第2報織布を曲げる際の構成原糸にかかる応力の一計算
呉 祐吉鈴木 恵
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1956 年 13 巻 140 号 p. 507-518

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抄録

織物の激の回復力というものは, その織物を構成する原糸, さらに原糸を構成する単繊維の変形回復力に基因する。しかも原糸には多少の撚りがかかっているから, 単繊維の “折り曲げ” ならびに “涙り” 両変形と応力との関係は, 弾性限界内の小変形から折りたたまれるまでの塑性変形をともなうと考えられる大変形も粘弾性的に明らかにしなければならないが, 単繊維の撚り集合体である原糸, さらに原糸の複雑な集合体の織物が折り曲げられるときには, 単繊維自身の粘弾性ばかりでなく, 単繊維相互の摩擦力の総和をも相当に重要な要素と考えねばならない。しかし織布を曲げる際の構成原糸にかかる繊維相互の摩擦力は, 接触圧力が長さの方向に変化するため計算が相当複雑となり, 本論文においてはふれないことにする。そこで, 緯糸 (または経糸) を軸として経糸 (または緯糸) が折り曲げられる場合の, 糸軸の曲げ応力と側繊維の曲げ応力および涙り応力を算出し, ナイロンスフ糸40, 60'sを例として応力の数値計算を行ってみた。

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