高分子化學
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選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中山 和郎, 金綱 久明
    1973 年 30 巻 344 号 p. 713-719
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    固体高密度ポリエチレンの静水圧押出しを, ダイス角度を変えて行なった。また, 押出し温度と押出し比の, 押出し圧力と押出し物の外観とに対する影響を調べた。
    押出し圧力曲線は, 三つの型に分類することができた。定常状態の押出しでは, 表面状態のよい, よく配向した押出し物が得られた, 低い温度での押出しで, ダイス角度を大きくすると, スティックスリップが観察された。スティックスリップが生ずると, 押出し物の直径は変動し, 激しいスティックスリップでは内部にクラックを生じた。
    ダイス角度を小さく選び, 一定圧力で押出しを行なうと, 表面状態の非常に良好な押出し物が得られた。
  • 結城 康夫, 小坂 寧
    1973 年 30 巻 344 号 p. 720-726
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    相当するジニトロ化合物の還元により, 2, 4-ビス (アミノアニリノ) -6-フェニルおよびメチル-s-トリアジンを合成した。またN1, N5-ビス (アミノフェニル) ビグアニドとギ酸メチルとの反応により2, 4-ビス (アミノアニリノ) -s-トリアジンを合成した。これらの6種のジアミンとテレフタル酸クロリドあるいはイソフタル酸クロリドとの低温溶液重縮合によりs-トリアジン環を主鎖にもつポリアミド (ポリアミドグアナミン) を合成した。耐熱性は比較的良好なポリアミドが得られた。
  • 自念 栄一, 鈴木 恵
    1973 年 30 巻 344 号 p. 727-736
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    短繊維分散形ガラス繊維強化ナイロン6プラスチック (FRTP) の平板切欠き材をくり返し平面曲げ疲労させたときの応力-くり返し数, き裂長さおよび進展速度とくり返し数, 応力拡大係数とき裂進展速度との関係を繊維混入率, 配向の面から検討し, 繊維のき裂進展の阻止効果を調べ, また乾燥による母材物性の変化のき裂進展に対する影響を調べた。その結果, 流動方向を長手方向に切り取ったたて試料がき裂進展の阻止効果が良好であり, また繊維混入率の増加とともにこの効果は増大し, 乾燥による物性の変化に対しても耐疲労性は低下することはないが, よこ方向 (流動方向と直角) ではその効果は少なく, 乾燥による影響を強く受け, 材料の使用で負荷方向と繊維配向との関係に配慮しなければならないことがわかった。
  • 沖 慶雄, 森 文雄
    1973 年 30 巻 344 号 p. 737-741
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々の有機スズ化合物で安定化した可塑化PVCの人工促進試験と天然バクロ試験を行ない, 光劣化の程度をフィルム表面の外観変化と赤外吸収スペクトルの変化を測定した。有機スズ化合物のPVCに対する安定化能は, ジブチルスズマレエート類にあっては, マレイン酸アルキルエステルでメチル, ブチル, オクチル, オレイルなどの相互間に大きな効果の差は見られなかった。アルキル置換体にあっては, ジ-, モノ-, トリ-の順に効果が減少した。ジ-ブチルスズジラウレートとジ-ブチルスズアレエートは双方とも光劣化防止効果が大であった。
    人工促進試験ではジ-ブチルスズマレエート類はPVCと弱い錯化合物を形成していると考えられる。この結合はテトロヒドロフランで切れ, ジエチルエーテルで比較的安定である。天然バクロ試験ではこのような錯化合物の形成は認められず, 人工促進試験と天然バクロ試験とではPVCの光劣化機構も異なっていると考えられる。
  • 平井 利博, 田中 誠
    1973 年 30 巻 344 号 p. 742-747
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    酢酸ビニル (VAc) とプロピオン酸ビニル (VPr) のランダムあるいはブロック的な共重合体の水酸化ナトリウムによるけん化反応を含水アセトン中, 30℃で行なった。ランダム共重合体の反応速度は同じ組成のブロック的な共重合体に比べて低反応度領域では小さく, 高反応度領域では大きかった。この共重合体のけん化反応を両単量体単位について検討することは両単量体の構造上の類似性のため困難であるが, 赤外吸収スペクトルの使用によって可能であった。その結果, ランダム共重合体では見かけ上, 両単量体単位の反応性はほぼ等しく, VAc単位の反応性は抑制され, VPr単位のそれは促進されることが示された。ブロック的な共重合体では, この傾向は弱く, VAc単位の反応が優先的に進むことが示された。以上の結果より, VAc-VPrのラジカル共重合体のすぐれた耐アルカリ性は主にそのランダムな構造によると考えた。
  • 緒方 直哉, 倉形 健一
    1973 年 30 巻 344 号 p. 748-755
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    m-オキシ安息香酸を出発原料に用いてこれよりポリヒドラジドエステル, ポリエステルアミド, ポリウレタンアシルセミカルバジド, およびポリエステルを合成する場合の合成条件, および得られたポリマーの熱的性質を検討した。ポリマーの熱安定性はポリエステル≅ポリエステルアミド>ポリヒドラジドエステル>ポリウレタンアシルセミカルバジドの順となった。得られたポリマーはいずれも相当するp-体ポリマーよりは低融点であるが, 熱安定性はo-, あるいはp-体ポリマーよりはすぐれており, その順序はm->p->o-ポリマーであった。
  • 吉川 公敏, 福冨 兀, 加倉 井敏夫
    1973 年 30 巻 344 号 p. 756-760
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    毛管流動法によって, ポリα-メチルスチレンの切断を, トルエン-メチルエチルケトン (MEK) の混合溶媒中で行ない, 溶媒混合比, ポリマー濃度, ポリマー重合度の切断への影響を調べた。結果として, ポリマー濃度が希薄なほど切断速度定数kの値は大きく, 溶媒組成の影響が強く現われるが, ポリマー濃度の増加とともにその影響は減少する。同一ポリマー濃度においては, MEK体積分率0.1付近の溶媒混合比においてkに極大が現われる。希薄溶液系では良溶媒中でのkが大きいが, 0.20g/100ccの濃度では逆に貧溶媒中でのkが大きくなる, などがわかった。これらの事実から, 希薄溶液系においてはポリマーセグメント-溶媒分子間の相互作用が切断におもに関与し, 濃度が割合高くなると, ポリマー間の相互作用が切断に影響してくるものと考えた。
  • 貴家 恒男, 清水 雄一, 佐々木 隆, 玉置 寛, 荒木 邦夫
    1973 年 30 巻 344 号 p. 761-766
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    電子線前照射法で合成した塩化ビニル-酢酸ビニル共グラフトポリエチレンの機械的強度 (引張降伏点強度YS, 衝撃強度IS) と, グラフト鎖成分量 (F [GC] ), 反応に使われ, グラフト鎖の生じているポリエチレン成分量 (F [RPE] ) および未反応ポリエチレン成分量 (F [URP] ) の組成との関連について検討し, つぎのような実験式を得た。
    YS=180+2.2・F [GC] -0.37・F [RPE] +0.17・F [URP]
    IS=8.0-0.44・F [GC] +0.55・F [RPE] -0.071・F [URP]
    これらの式から機械的強度に対しては, グラフト鎖成分ばかりでなく, 反応に使われたポリエチレン成分が大きく寄与していることを明らかにした。非晶性のグラフト鎖が生じた結果溶融成形物では結晶化度が低下し, また結晶状態が変化したための効果と結論した。
    また溶融流動性についても検討を行ない, グラフトによる溶融流動性の低下はもっぱらグラフト鎖のような長鎖の分岐が生じたための効果と結論した。
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