高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
ポリビニルアルコールとポリアクリル酸との混合紡糸に関する研究
第3報ポリビニルアルコールーポリアクリル酸混合物皮膜の熱処理による分子間エステル化
川上 博川嶋 憲治
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 17 巻 181 号 p. 319-324

詳細
抄録

前報においてポリビニルアルコールとポリアクリル酸との混合物皮膜の比重および水に対する溶解度, 膨潤度を測定した結果, 熱処理によってポリビニルアルコールとポリアクリル酸との分子間結合ができるものと推定した。本報ではこのような分子間結合について明らかにするため, 混合物皮膜を浸漬膨潤させた水溶液の電導度滴定によりカルボキシル基を測定して次の結果を得た。(1) 滴定前の膨潤条件を変化させてもそのカルボキシル基量は変化しない.(2) 電導度滴定で求めたカルボキシル基量は銀塩の重量分析から求めたそれと一致する。(3) 混合物皮膜のカルボキシル基量は熱処理によって減少する。(4) 同一条件で熱処理された皮膜についてポリマーの混合率とカルボキシル基量とから算出した分子間結合数は, ポリマーの混合率によって異なる. 以上の結果から混合物皮膜の溶解度, 膨潤度に関する前報の実験事実を説明することが可能である。

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top