高分子化學
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メタクリル樹脂の圧縮クリープとその温度特性
荒井 定吉鈴木 功
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1960 年 17 巻 186 号 p. 578-590

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抄録

鎖状高分子のクリープの線型性に関する従来の研究は, 一般的に引張りによる微小変形の領域で行なわれ, ひずみ量もまた, したがって単純に延伸率によって1次元的に与えられている。本報告においては, 無定形鎖状高分子ポリメチルメタクリレートの円筒形試料について常温から遷移領域を経てゴム状弾性域にわたる広い温度域で, 初期応力σ0: 2.5-100kg/cm2, 圧縮方向の見かけのひずみ量εc (t): 0.1-45%の範囲で広範な圧縮クリープの測定を行なった。ここでεc (t) は試料の初めの高さをh0, 負荷後t時間経過したときの高さをh (t) として [h0-h (t)]/h0で示される。結果は瞬間変形ばかりでなく, “粘性流動に関する臨界クリープ時間” 内のクリープ変形にも, 等方性, 非圧縮性の理想的弾性体について, Mooney-Treloar-Rivlinが導いた理論式に時間の要素を入れた次の関係式が成立し, その変形は本質的には線型性であると認められる。
ここでGc (t) はクリープコンプライアンスJc (t) の逆数の1/3で定義される “遅延剛性率”, α (t) はh (t)/h0である。また異なる温度のJc (t)-logt曲線は時間軸に移動すれば相互に重なり合い, 時間温度換算法が適用される。

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