抄録
アイソタクチックポリプロピレン (Isot. PP) の延伸フィルムを試料とし, 繊維軸に対し直角方向に応力を加え, X線の赤道反射の干渉位置の移動を測定することにより, 分子鎖の軸に対して直角方向の結晶弾性率 (Et) を求めた。直列模型に基き次の結果を得た。
Isot. PP:(110)…Et=2.9×104kg/cm2, (040)…Et=3.2×104kg/cm2 (28℃)
これらのEt値は, 同じくIsot. PPに対する分子鎖の軸方向の結晶弾性率 (Et) 42×104kg/cm2の1/14に相当する低い値てあり, 結晶弾性率のこの顕著な異方性は, 両方向における結晶伸長の機構の本質的な相違によるものである。一方, Isot. PPのEt値は, 前報におけるポリエチレンに対するEt値 (3~4×104kg/cm2) にほぼ一致する。また上の結晶弾性率を, 試料つ弾性率 (Yt=2.3×104kg/cm2) と比べると, 両者は互に接近した値である。