高分子化學
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〔108〕結晶性高分子のカラム分別における担体への沈着温度について
上出 健二河合 徹
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1967 年 24 巻 272 号 p. 779-784

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抄録

結晶性高分子をカラム分別する際, 特に結晶融点以下で分別する場合に, 高分子を担体に沈着させる温度 (沈着温度) が分別効果にどのように影響するかを検討した。アイソタクチックポリプロピレンをデカリン-フタル酸ジエチル系 (140℃) でカラム分別した。同一分子量成分で比較すると, 沈着温度が高くなるほどより良溶媒の溶液にはじめて溶解し, 得られる見かけの分子量分布の幅も狭くなった。カラム分別の高分子沈着条件と同じ条件を用いて調製した, 溶液から析出した結晶の熱特性と形態 (morphology) を調べたところ, 沈着温度が低いほど結晶は低温融解成分を含み, 結晶も樹脂状晶となった。これより, 少なくとも溶出温度が結晶融点より低い場合には, 担体への高分子の沈着状態の相違が沈着高分子の溶解特性, したがって分別効果を明らかに左右することが確かめられた。

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