1970 年 27 巻 304 号 p. 554-561
乳化剤としてポリメタクリル酸 (PMAA), 開始剤としてメタクリル酸メチル (MMA) のモノマー過酸化物を用いたMMAの乳化重合において, PMAAの乳化剤的挙動をラウリル硫酸ナトリウム (SLS) の場合と比較検討し, 次の結果を得た。1) 重合初速度はPMAA濃度の0.4乗に比例し, SLSの場合の結果と一致した。2) 重合初期において, 生成粒子の粒子径分布は, SLSの場合には比較的狭かったのに対し, PMAAの場合にはかなり広かった。3) SLSの場合と同様にPMAAの場合でも, モノマー油滴消失点で重合速度は低下した。同時に, 微小粒子が多数生成し, 粒子数は増大した。以上の諸事実より, PMAAは水に対するモノマーの可溶化能 (0.03~0.08%) および生成粒子の安定化能を与え, その安定化能はSLSに比べて若干劣るが, SLSとほぼ同様の乳化剤的挙動を示し, その際の重合機構もSLSの場合とほぼ同じであることを明らかにした。