高分子化學
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エチレン共重合により変性したポリビニルアルコール水溶液の性質
柴谷 享一郎大柳 康治
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1971 年 28 巻 312 号 p. 361-367

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抄録

酢酸ビニルとエチレンのランダム共重合物 (エチレン基含量約10mol%以下) をケン化して得られるエチレン基含有ポリビニルアルコールの水溶液の性質を研究した. この水溶液はある閉じた温度, 濃度域で2相に分離する. 2つの臨界完溶温度, LCSTとUCSTはエチレン基含量が小さいほど, また分子量が小さいほどたがいに70~90℃付近へ接近し, エチレン基含量3mol%以下の試料ではつねに均一溶液となる. 分子量無限大のポリマーに外挿したLCSTでの粘度-分子量関係の測定および沈降平衡法による第2ビリアル係数測定の結果, この温度はΘ温度であることが確認された. また, このポリマーの水溶液の極限粘度の温度依存性を調べた. これらの結果より純ポリビニルアルコール水溶液の溶解状態について考察し, 溶解性は80℃付近で最も悪いこと, また溶解は80℃以下では発熱的, 80℃以上では吸熱的に起こると推定した.

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