加硫ゴムの模型として選んだチオケトン化合物・3員環チオエーテル及びトリチオエーテル化合物に就いて, 酸化並びに諸反應を試みて次の知見を得た。
1) チオケトン基型硫黄は有機過酸で定量的にSO “4として離脱する。
2) 3員環チオエーテル化合物の中には, 有機過酸でSO” 4として離脱するものもあるが, 構蓮の如何によつては酸化しにくい。
3) トリチオエーテル型の硫黄は有機過酸で離脱せずして-SO-となる。
4) ヒドラヂンヒドラートによつて反應するのは, チオケトン基型磯黄のみである。
5) ZnOと加熱すると次の反應が起る。
6) エチレンヂアミンヒドラートはチオケトン基のみに反應を行い, 條件によつて次のようになる。
7) これらの反應と別報 に於けるゴムの實験を併せて考察すると, ゴム加硫時に, 促進剤並びにその助剤を用いる意義を推論することが出來る。例えば或る種の促進剤は硫黄を活性化させて容易にゴム分予中ヘチオケトン基を附加する作川を行い, 亜鉛華は, このチオケトン集を架橋に轉ずる作用を筥むものと考えられる。
