高分子論文集
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ビスフェノールAポリカーボネートの光崩壊
椿山 教治佐々木 幸子平木 誠一鯨井 忠五
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1974 年 31 巻 10 号 p. 629-636

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抄録

異なったふんい気中での紫外線照射によるポリカーボネート皮膜の光崩壊挙動を主としてUV吸収スペクトルおよび粘度法より調べた. 崩壊中には主鎖切断, 橋かけ, フリース転位が起こることが確認され, 以下のことが分かった. 真空中照射 (λ>220nm) では微小の重量減少を伴って橋かけが起こりゲルを生成する. 空気中では長時間照射しなければゲル化を起こさないが, 大きい重量減少を起こす. 一方, 可溶部ポリマーの固有粘度の変化より, 照射初期ではランダムな主鎖切断を起こすが, その速度は時間とともに急速に減少することが分かった. またUV吸収スペクトル変化より, 転位反応も初期において急速に起こり, それ以降は進行しにくいことが示された. さらに酸素の存在は橋かけを抑制するが主鎖切断を加速させること, また主鎖切断よりも転位反応の方が優先することが明らかにされた.

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