高分子論文集
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ジアルキルフタレートの表面張力
かせ村 知之山下 典男近土 隆畑 敏雄
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1976 年 33 巻 12 号 p. 703-709

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抄録

ジアルキルフタレートは高分子の可塑剤として広く用いられており, その界面化学的性質を研究することは重要である. 我々は鎖長の異なるジアルキルフタレートの表面張力を静泡法で測定し, パラフィンに対する接触角を測定した. ジアルキルフタレートの表面張力 (γL) と表面エネルギー (ES) は, 最初分子量の増加とともに減少し, M=418における極小値を通過する. 表面エントロピー (SS) はMとともに減少し, ポリエチレンの値に接近する. 表面張力の分散力成分と極性成分は, 接触角のデータからFowkesの式を用いて計算した. 分散力成分 (γLa) はM=250までは一定値を示し, 250<M<418ではγLに平行に減少し, M=418で極小となり, それ以後はアルキル基の2倍の分子量をもつn-alkaneの表面張力に一致して増加する. 一方γLbは最初Mの増加とともに急激に減少してゆき, M>300において一定値を示す. これらの結果はGainesの式でも畑の式でも説明できない.

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