血液中の中間分子量毒性物質の除去性能の良い透析膜を捜すことを主眼として, 人工腎臓用透析膜の透過性能を検討した. 膜としては, Cuprophane PT-150膜, 変性ボリアクリロニトリル膜を用い, 透析される物質としては, 尿素, クレアチニン, ショ糖, イヌリンを使用した. 各物質の移動速度は, 理論に従い溶液濃度の経時変化から求め, 種々のかきまぜ速度に対して物質移動の総括抵抗をWilsonブロットの直線を外挿することにより, 液体境膜の抵抗を除いた膜抵抗を求めた. その結果, 変性ポリアクリロニトリル膜は, 在来用いられているCuprophane膜より中間分子量物質に対する透過性が優れていること, また膜厚を変えた実験結果から, 乾燥膜の場合には膜表層部の抵抗を重視しなければならないことが分かった.