高分子論文集
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高分子材料と生体組織との反応
小島 幸一今井 庸二増原 英一
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1977 年 34 巻 4 号 p. 267-273

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抄録

合成高分子材料と生体組織との相互作用を明らかにする一環として, ポリエステル, ポリアミド, ポリイミドなどの10種の芳香族縮合系高分子と, 医療用のポリ塩化ビニル (PVC) およびシリコーンゴムの生体内劣化について検討した. 埋植 (in vivo) と同時に室温空気中 (in air) と37℃緩衝溶液 (pH7.4) 中 (in vitro) にも同じ試料を保存して比較試料とした. 26か月後に回収して, 微分干渉顕微鏡観察, X線回折強度, 伸び率, 引張り強度, 極限粘度, 重量変化, 赤外線吸収スペクトルなどの測定を行った. PVCは添加物質を溶出した. 機械的性質は, 開始時と比較すると差が大きかったが, in air, in vitro, in vivoの相互には, あまり差はなかった. 他の測定でもほとんど差はなく, 分解しやすいと考えられている縮合系高分子も, 本研究で用いたものは生体内劣化はほとんど受けず, 安定であった.

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© 社団法人 高分子学会
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