1977 年 34 巻 4 号 p. 287-290
前報において人工腎臓用軟質ポリ塩化ビニル製血液回路から溶出するフタル酸ジ (2-エチルヘキシル) (DEHP) を定量するために, 乾燥人血染液を灌流させ, 溶出液中のDEHPの量をガスクロマトグラフィにより定量を行ったが, この方法は人血漿を用いていることや, 抽出操作に繁雑な面があり, 再現性のあるデータを得るには, 熟練を必要とした. そこで簡便にして分析精度の高い, DEHPの定量法を見いだす目的で, 40%エタノールを用いたところ, 溶出したDEHPの量を再現性良く紫外吸収スペクトルで定量できることを見いだした. この方法は, 40%エタノール300mlをとり, 20℃, 250ml/minの流速で血液回路内を灌流させると, 最初の30分で急激に溶出し, この間に溶出したDEHPの量は約11mgで, 乾燥人血漿液を用いて6時間灌流した場合の約1/2量に相当した.