高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
Seed乳化重合エマルション粒子中の異相構造の制御
大久保 政芳勝田 善春山田 祥松本 恒隆
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 36 巻 7 号 p. 459-464

詳細
抄録

異種ポリマーから成る複合エマルション粒子中における, ポリマー相分離に伴って発現する異相構造の制御に関する知見を得ることを目的とし, ポリアクリル酸ブチル (PBA) をseedとするスチレン (St) のseed乳化重合を各種条件下で行った. 仕込みSt量をあらかじめ完全に吸収させた, 粒子中のモノマー濃度の高い系では, 相分離によりPBA連続相中に生成するポリスチレン分散粒子数 (N) は重合初期よりほぼ一定で少なかった (6~9個). 一方, Stを滴下させた, 粒子中のモノマー濃度が常に低い系では, 重合率の増大に伴ってNは増加の一途をたどり, 重合率53%では約35個であった. 前者のエマルション皮膜は自色光に対し, 反射光は青色, 透過光は黄赤色を示したが, 後者のそれは単に白濁したものであった. これらの結果より, seed乳化重合により生成される複合エマルション粒子中の異相構造は, 重合中における粒子中の粘度により制御することができ, また, そのことより, 皮膜物性を大きく変えうることが明らかになった.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top