高分子論文集
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カーボンブラック表面へのN-ビニルカルバゾールのグラフト重合
大北 熊一辻田 照之前田 稔
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1980 年 37 巻 5 号 p. 343-349

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抄録

カーボンブラックによって開始されるN-ビニルカルバゾール (NVC) のカチオン重合の見掛けの活性化エネルギーは約14kcal/molであった. NVCをブラックの存在下で重合して得たホモボリマーの分子量は, 重合率が増すにつれて低下し, 水素化ホウ素ナトリウムで前処理したブラックの系で得られるホモポリマーは, 更に低い分子量を与えた. NVCの重合に用いたブラックはもとより, 単にポリ (N-ビニルカルバゾール) [ポリ (NVC)] を吸着させたブラックでも, 溶剤によるソックスレー抽出では, 粒子表面のポリマーを完全に除去することが難しかった. 抽出不能なポリ (NVC) の量は, これをセミミクロケルダール法で窒素分析し, 表面構造を変えだブラックへの吸着ポリマー量との比較検討も試みた. 実験の結果は. 吸着ポリマーの量と粒子表面に存在するベンゼン状環との密接な関連性を示唆し, 表面のキノン型酸素がグラフト反応点になることを示した.

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