高分子論文集
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カルボキシル化高分子エマルションのアルカリ増粘性および造膜性
大久保 政芳中村 吉伸朝倉 光彦丹下 豊吉山下 晋三松本 恒隆
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1982 年 39 巻 3 号 p. 157-163

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抄録

カルボキシル化高分子エマルションのアルカリ増粘性, 造膜性に及ぼす粒子内カルボキシル基分布の影響を検討した. そのため, メタクリル酸メチル, アクリル酸エチル, メタクリル酸から成るエマルションをモノマー分割添加法で2種類 (B, C) 作製し, これらとモノマー一括添加法で作製した同ポリマー組成から成るエマルション (A) とを比較した. Bでは重合初期から徐々にメタクリル酸濃度が低下していくように, Cでは逆に徐々に高くなるようにした. その結果, メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸が63/27/10 (モル比) の組成のエマルションでは, 粒子表面層のカルボキシル基濃度は, C>B>Aの順に高かった. これに対応して, アルカリ増粘性はC>B>Aの順に顕著であり, 最低造膜温度はA>B>Cの順に低くなった. これらのことから, 粒子内カルボキシル基分布がアルカリ増粘性, 造膜性に影響を及ぼすことが明らかになった.

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© 社団法人 高分子学会
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