高分子論文集
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ポリ塩化ビニルの高分子電解質化と表面改質
高橋 彰吉間 禎夫川口 正美
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1982 年 39 巻 6 号 p. 429-434

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抄録

テトラヒドロフラン (THF) 中でテトラエチレンペンタミン (TEPA) と反応させることによってポリ塩化ビニル (PVC) のカチオン性高分子電解質誘導体を初めて合成することに成功した. その高分子電解質 (TPVC) は赤外分光法, 元素分析法やESCAによって検討し, これらの分析結果から1本のPVC鎖上のTEPAの置換度が約0.5mol%であることがわかった。TPVCは水-THF混合溶媒に溶け, 高分子電解質に特有の粘度挙動が観察された. 水に対するPVCシート表面のぬれを改善しようとしてTPVCをPVCシート上にコーティングしたが, 水の接触角 (θ) はPVCシート上の水の接触角と同じ80度であった. このように, PVCのぬれはTPVCのコーティングだけでは改善することができなかった。しかしながら, 表面にコーティングしたTPVC上に数種のアニオン性高分子電解質を吸着させることによって接触角を大きく減少させることができた。更に, 接触角は水洗後も変化せず, このことは吸着した高分子電解質が脱着しないことを示している。

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