三次元構造をもったポリマーよりなる限外濾過膜調製の一環としてポリケイ皮酸ビニル膜を取り上げ, その熱的, 化学的性質の改良を膜素材の橋かけによって行ったので報告する. キャスト法により製膜したポリ桂皮酸ビニル膜を乾燥した後, 水銀灯により光照射して三次元化 (橋かけ) した. 橋かけの結果, ポリ桂皮酸ビニル膜の耐溶剤性はかなり向上し, 照射前ジメチルホルムアミドに易溶だった膜は, 照射後膨潤を示す程度になった. キャスト液の溶剤の種類, 増感剤の種類などの膜性能に及ぼす影響について検討し最適製膜条件を求めた. 得られた膜について限外濾過性能の一例を示すと, 6kg/cm2の操作圧力で3,000ppmのボリエチレングリコール (分子量20,000) を濾過したときの水透過流束は1.04m3/m2・day, 溶質排除率は86.6%であった.