高分子論文集
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ポリアクリル酸-ポリビニルピロリドン系ポリマーコンプレックスの分子間水棄結合挙動
佐々木 信義横山 哲夫
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1984 年 41 巻 1 号 p. 9-17

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抄録

ポリアクリル酸-ポリビニルピロリドン系ポリマーコンプレックスの水素結合挙動をIR, 動的粘弾性などにより検討した. 水-エタノール混合溶媒よりの膜 (a) 及びジメチルスルホキシドより製膜しメタノールに浸漬した膜 (b) では, ともに分子間水素結合形成に起因するピロリドンの C=Oの吸収がモル比50/50のとき最大となり, 約90%の水素結合量を示す. 組成50/50の膜は成分高分子より高い主分散温度を持ち, IRからの水素結合の解離温度と一致するところから, 分子間水素結合の切断がガラス転移を支配する要因であることが明らかとなった. (b) は (a) より高いTgを示すが, これは (a) ではコンプレックス相を分散相とし, 成分高分子をマトリックスとする構造を持ち, (b) では比較的均一に混合され, 水素結合は試料中に一様に散在するためと解釈した. IR測定により, 水素結合の解離熱は (a), (b) 各々58.6kJmol-1, 55.3kJmol-1の値が得られた.

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