非吸着性高分子によって引き起こされる小板状コロイド粒子の凝集挙動をタングステン酸ゾル (t-ゾル) にポリエチレンオキシド (PEO) を用いて検討した. PEO分子は単独ではt-ゾルにまったく吸着せず, 凝集挙動にもなんら影響を及ぼさない. しかし, t-ゾルを他の高分子, 例えばポリアクリルアミド (PAAm) で吸着処理すると相互作用を示し, 特にPEO溶液の溶解力を低下させるとt-ゾルの凝集が見られた. ここではPEO溶液の温度 (25, 40℃及び50℃) と電解質 (MgSO4) 濃度を変えてt-ゾルの凝集挙動を調べた. それらの解析より, 本系に見られる凝集は溶存PEOの凝集力がPAAm吸着層を通して間接的にt-ゾルに作用して生ずるものであり, 非吸着性高分子の, いわゆる“depletion layer効果”で生ずるものではないことが分かった.