高分子論文集
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ポリエチレンイミンを骨格分子鎖とするくし形コンプレックスの構造
高橋 利禎山根 卓也西尾 嘉之
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1984 年 41 巻 3 号 p. 159-165

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抄録

ポリエチレンイミン (PEI) とオクチルオキシ安息香酸 (OOBA) またはコレステロールハイドロゼンサクシネート (CHS) のDMF溶液を混合することによりくし形コンプレックスを得た. このくし形コンプレックスは PEI のアミン基と OOBA または CHS の末端のカルボン酸基との相互作用によって形成されたと考えられる. コンプレックスのX線回折強度曲線には, 2θ=1.0~2.6゜に強い回折ピークがまた2θ=15~25゜には1個の散漫な極大が見られる. この結果はくし形コンプレックス中の側鎖である OOBA と CHS はもとの結晶学的な対称性を完全に失なっていること, また側鎖は層状に充てんされてスメクチック形の構造を形成しており, そこでは側鎖は互に平行にまた PEI を含む面に対しては垂直に配列されていることなどを示している. コンプレックスの DSC 曲線には170~230℃の温度領域に非常にブロードな吸熱ピークが存在する. スメクチック形構造の崩壊と化学的分解がこの吸熱ピークに寄与していると考えられる. このコンプレックスのモルホロジーや配向挙動についても検討した.

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