高分子論文集
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キトサン存在下でのアクリル酸のラジカル重合
片岡 清一安東 忠直
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1984 年 41 巻 9 号 p. 519-524

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抄録

キトサン酢酸塩 (CS・AcOH) の存在下でのアクリル酸ナトリウム (AA・Na) とメタクリル酸ナトリウム (MAA・Na) の重合性を比較する目的で, AA・Naは過硫酸カリウム (KPS) を開始剤として, 水溶液中30℃で, ラジカル重合を行った. AA・Naに対してもキトサン (CS) 基本モル比が1付近で重合率が最大となった. CS・AcOHの存在下でのAA・Naの重合速度は, MAA・Naに比べて小さかった. 生成ポリ (アクリル酸) (PAA) の分子量は, 重合率約20%まで直線的に増加し, それ以上になると直線から離れた. AA・Naの重合の場合, MAA・Naの重合とは異なり, 安定リビングポリマーは生成しなかった. これらの結果から, 静電結合だけでなく, 疎水的相互作用も, CS・AcOHの存在下でAA・NaよりむしろMAA・Naの重合で重要な役割をはたしているものと推定した.

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