高分子論文集
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ポリビニルアルコール/ポリジメチルシロキサン グラフト共重合体の表面構造と血液適合性
手塚 育志松井 彩絵里福島 晃宮 正光今井 清和片岡 一則桜井 靖久
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1985 年 42 巻 10 号 p. 629-634

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抄録

グラフト鎖長及びグラフト密度の制御されたポリビニルアルコール (PVA) /ポリジメチルシロキサン (PDMS) グラフト共重合体を合成し, この共重合体膜表面の乾燥状態及び水中状態のキャラクタリゼーションを接触角測定により行った. 乾燥状態での膜表面は, ほぼ完全にPDMS成分で覆われているが, 水中ではその表面状態が著しく異なっていることが示された. このグラフト共重合体の血液適合性について, 血小板の粘着率及び粘着血小板の形態変化に着目して評価した. グラフト共重合体中のPDMS鎖長及びシロキサン含量の変化に伴い血小板粘着率は大きく変化し, 接触角測定から予測される表面の変化を裏付けた. 更に, 接触角測定からは検出できない変化も存在することが示唆された. DMSシロキサンユニット鎖長40, シロキサンユニット含量2.7 mol%のグラフト共重合体で最も低い粘着率が認められ, 血小板の形態変化も小さいことが示された.

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