1985 年 42 巻 9 号 p. 547-552
2, 4-ジァミノ-6-ビニル-s-トリアジン (VT) を新規な方法で合成し, このものとその重合体の熱的性質について研究した. VTの示差熱分析では融解による吸熱ピークは観測されず, 重合による発熱ピークのみが観測された. また, 熱天秤の結果からVTは昇華性が大きく, 250℃までの加熱で約60%が昇華し, その温度附近で熱重合することがわかった. VTの重合体は330℃にガラス転移温度を持ち, その直後に熱分解を起こして重量減少がはじまる. 300℃, 1時間の加熱では1.2%の重量減少を示すが, IRスペクトルからトリアジン環の存在が認められた. しかし, 400℃, 1時間の加熱では6.0%の重量減少を示し, 一部のトリアジン環も消失していることがわかった. 重合体の熱分解開始温度は他のビニルポリマーと大差ないが, 500℃で約50%の残量があるという点で耐熱性高分子といえる.