高分子論文集
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42 巻, 9 号
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  • 日比 貞雄, 伊藤 恵子, 藤田 健一, 前田 松夫
    1985 年 42 巻 9 号 p. 539-546
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    球晶のような結晶の高次構造に起因する複雑さをさけるため高分子試料として二軸延伸ポリビニルアルコールフィルムが選ばれた. 試料フィルムの長さ及び幅の増加に伴う結晶鎖軸配向の分布変化は修正アフィン変形に基づく以前に報告した方法を適用して計算される. 結晶面法線の極図は配向分布関数及び結晶単位胞の幾何関係を用いて理論的に描かれる. これらの計算結果とX線回折測定で求めたものを比較して, 結晶面の実際の動きによる試料中の選択配向が検討される.
  • 鎌形 一夫, 木下 雅士
    1985 年 42 巻 9 号 p. 547-552
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    2, 4-ジァミノ-6-ビニル-s-トリアジン (VT) を新規な方法で合成し, このものとその重合体の熱的性質について研究した. VTの示差熱分析では融解による吸熱ピークは観測されず, 重合による発熱ピークのみが観測された. また, 熱天秤の結果からVTは昇華性が大きく, 250℃までの加熱で約60%が昇華し, その温度附近で熱重合することがわかった. VTの重合体は330℃にガラス転移温度を持ち, その直後に熱分解を起こして重量減少がはじまる. 300℃, 1時間の加熱では1.2%の重量減少を示すが, IRスペクトルからトリアジン環の存在が認められた. しかし, 400℃, 1時間の加熱では6.0%の重量減少を示し, 一部のトリアジン環も消失していることがわかった. 重合体の熱分解開始温度は他のビニルポリマーと大差ないが, 500℃で約50%の残量があるという点で耐熱性高分子といえる.
  • 成田 宏, 橋本 壮一, 高林 誠一郎, 荒木 幹夫
    1985 年 42 巻 9 号 p. 553-558
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々の脂肪族ヒドラジド化合物を合成し, これと塩化銅 (II) との開始剤系でメタクリル酸メチルを重合した. その結果, 電子供与性の大きな置換基を持った化合物との組合せでは重合速度は遅くなり, また2官能性のグルタル酸ジヒドラジド系では官能性のプロピオン酸ヒドラジド系よりも重合速度は速かった. これは銅 (II) 塩と安定な錯体を作るものほど重合速度は遅くなり, 引抜かれ易い水素を持つヒドラジド化合物ほど重合速度は速くなった.
  • 後藤 弘太郎, 河合 鱗次郎
    1985 年 42 巻 9 号 p. 559-565
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂成形用フィラーとして用いられるシリカ粉とガラスビーズの誘電率ε′と誘電損率ε″は水分吸着により低周波数帯で非常に大きくなる. フィラーの表面に吸着した水分層の誘亀率ε′は, 1Hzで105以上大きな値となる. この結果は, フィラー表面に作られる吸着水の水素結合連鎖の大きな分極として説明される. 同様なことはフィラーを充てんしたエポキシ樹脂成形品の高湿度での誘電特性にみられる. この誘電率の増大はフィラーを表面処理することによって抑制することができる.
  • 中村 儀郎, 森 邦夫, 田村 浩作, 西科 浩徳
    1985 年 42 巻 9 号 p. 567-575
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレン (PE) とポリ塩化ビニル (PVC) のような非相溶性ポリマーのブレンド物の力学的性質は, 両者と反応性のある多官能性モノマー (X) と過酸化物の共存下にブレンドすることによって大きく向上し, 両者の広い混合組成にわたって分散性の優れた強じんな共橋かけブレンド物が得られる. これはブレンド過程でPE-X-PVCのような共橋かけ物 (1種のブロックコポリマー) が生成し, これがPEとPVCの相溶化剤として作用するためと考えられる. この共橋かけ物の生成は, 両者の接着物に見られる大きいはく離強度と共橋かけブレンド物のKrausプロットから確認される. 本技術により, PEの混入した廃農業用軟質PVCの再生もMgO, 5; ステアリン酸塩系安定剤 (RP101), 1; トリチオシアヌル酸, 0.3; トリアリルイソシアヌラート, 5; 高飽和型NBR (Zetpol), 10; ベロキシモン, 1 (部) の配合によって可能となり, 淡色かっ強じんな共橋かけブレンド物が得られる.
  • 加門 隆
    1985 年 42 巻 9 号 p. 577-583
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    脂肪族アミンによるエポキシ樹脂の硬化反応速度に及ぼすアルコール, 水, フェノール, カルボン酸などの促進剤の影響について, 定温示差走査熱量法 (DSC) により速度論的に研究した. エポキシ基とアミンの反応は既報のようにエポキシ基アミンの反応によって生成する水酸基によっても促進されるので, 促進剤の速度定数はこれを含む三次反応式を用いて決定した. これらの反応における促進効果は促進剤の酸の強さが大きいほど (pKaが小さいほど) 大きかった. しかし, 促進剤の酸の強さがカルボン酸のように非常に大きくなると硬化剤である脂肪族アミンと塩を形成し, その促進効果が低下することが認められた. これらの促進剤添加による最終硬化反応率はフェノール, アルコールではやや向上した. これはこれらの化合物による可塑化のためと推定した. カルボン酸ではこれらの効果は認められなかった.
  • 佐伯 英夫
    1985 年 42 巻 9 号 p. 585-591
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    主鎖中に四級炭素原子を有し, 放射線崩壊型ポリマーとして知られているメタクリル酸アルキルエステル系ポリマー数種, 及びメタクリル酸メチル (MMA) を主成分とした二, 三のコポリマーについて, 感電子線性と熱的性質 (ガラス転移点, 熱分解点) の関係について調べ, 高感度ポジ型電子線レジスト材料としての可能性を検討した. これらのポリマーに関しては, 感度の高い材料は一般に熱安定性が低いという傾向が認められた. しかし, ポリメタクリル酸イソプロピル (PiPMA) は, 高感度ポジ型電子線レジストとして知られているポリ (ブテン1スルホン) (PBS) より高い熱安定性を有するが, これと同程度の感度を示した. また, MMAとのコポリマーのうち, iPMAを含むものはPMMAに近い熱安定性を有し, かつPBSより高い感度を示すことが認められ, 高感度ポジ型電子線レジストになりうる材料であることがわかった.
  • 佐伯 英夫
    1985 年 42 巻 9 号 p. 593-600
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸イソプロピル) の共重合組成比と感度及び熱安定性の関係を調べ, 高感度ポジ型電子線レジストとしての可能性を検討した. コポリマー中のメタクリル酸イソプロピル (iPMA) 成分が多くなると感度は高くなるが, 熱的性質 (ガラス転移点及び熱分解関始点) は低下し, またメチルイソブチルケトン: イソプロピルアルコール=1: 3 (容積比) の現像液に対しては未露光部の膜が溶解する傾向が認められた. これらのコポリマーのうちではiPMAが30mol%程度含まれているものが最適現像条件下で0.4μC/cm2の高感度を示し, 現像後の膜減りも少なく, かつ微細パターンの形成性も良好であった. 更にこれらのコポリマーの電子線による主鎖切断効率: G値を調べたところ, いずれも1.0~1.6程度で共重合組成依存性は認められず, ポリメタクリル酸メチルのそれと同程度であった.
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