高分子論文集
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サーモトロピックポリエステルの熱的挙動と微細構造との関係
京谷 陸征金綱 久明
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1986 年 43 巻 5 号 p. 269-276

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抄録

サーモトロピック液晶を形成する4種類の剛直なポリエステル (1. X=Cl, 2. X=Br, 3. Y=Cl, 4. Y=Methy1) の熱的挙動と微細構造との関係を調べた. 四つのポリマーについて異方性及び等方性メルトから20℃/minの速度で室温までの降温過程の熱的挙動を示差走査熱量測定装置で測定し, 室温に降温した試料に存在する微細構造を走査型電子頭微鏡で観察した. 異方性メルトから降温した試料には結晶性の板状又は角柱状の微細構造が形成されるが, この構造の大きさと結晶性はメルト状態の温度に依存しており, この温度が高いほど構造が小さくなり結晶性も低下する. 3と4のポリマーの異方性-等方性メルト転移は昇降温の両過程で見られた. 等方性メルトから降温した試料は低結晶性又は非晶に近い状態で非常に小さく均一な構造が形成されている. 液晶性ポリエステルの異方性と等方性メルトを同じ条件で冷却すると異なる固体状態の形成が可能である.

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