高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
不飽和ポリエステル樹脂を用いたレジンモルタルの長期劣化特性
松浦 武利岡田 武司小中 庸夫
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 44 巻 3 号 p. 185-191

詳細
抄録

低収縮性付与剤を含んだ不飽和ポリエステル樹脂 (UP樹脂) を結合材とするレジンモルタルの水中における加速劣化試験を行った. 低収縮性付与剤としてはUP樹脂と相溶性であるポリ酢酸ビニルと非相溶性であるポリスチレンを用いた.
水中における強度低下はレジンモルタル硬化時の残留応力と水の拡散が影響している事が分かった. 非相溶系及び低収縮性付与剤を含まないUP樹脂レジンモルタルでは残留応力が大きく, 水の試料中への拡散が強度低下の原因である. これらのUP樹脂レジンモルタルについては, 劣化特性推定式を作成し寿命を推定した. 相溶系の場合, 硬化時に低収縮性付与剤が小さな連続気泡を作るため試料中への水の浸透は速く, 強度試験期間の初期に一定の強度低下が見られる. しかし, 残留応力が小さいため, 二, 三万時間以上では非相溶及び低収縮性付与剤を含まないUP樹脂レジンモルタルよりも高い強度を保持できる.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top