高分子論文集
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フェノール硬化型エポキシ樹脂の橋かけ密度と硬化物物性
尾形 正次河田 達男金城 徳幸
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1987 年 44 巻 3 号 p. 193-199

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抄録

硬化剤としてフェノールノボラック樹脂を用いたエポキシ樹脂の硬化物物性に及ぼす硬化促進剤の影響について検討した. その結果, 硬化促進剤の種類によって最終硬化物の諸物性に著しい差が生じたが, ゴム状態式により求めた橋かけ密度ρ (E′) との関係を検討し次のことが明らかになった. ガラス転移温度Tgはρ (E′) に依存し, 両者の関係は柴山が提案している式Tg=K1logK2ρによく適合した. ガラス領域の弾性率はρ (E′) が高い硬化物ほど小さいがこれは硬化物の比容積と良く対応した. 熱膨張係数αはρ (E′) が高い硬化物ほどゴム領域では小さな値を示したが, ガラス領域では逆に大きな値を示した. ρ (E′) が高い硬化物がガラス領域でαが大きな値を示すのは硬化物の自由体積が大きいためと推察した. 硬化促進剤の種類によって最終硬化物の諸物性を支配するρ (E′) に著しい差が生じるのは, 硬化促進剤によって樹脂の硬化機構が異なるためと推察された.

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