高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
ポリアミドイミドの加熱による硬化機構
坪川 紀失山本 勇曾根 康夫
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 44 巻 5 号 p. 389-394

詳細
抄録
ポリアミドイミド (PAI) の加熱による硬化機構を明かにするため, イミド結合量及びアミド結合量の異なる数種のPAI並びにポリアミド酸を合成して, それらの加熟による化学構造と物性の変化について検討した. その結果, (1) アミド結合の多い試料ほど加熟によって極限粘度が上昇しやすい. (2) 加熱時間が長くなるとイミド結合量に関係なく, 溶媒に対する溶解性が低下する. (3) 真空中より空気中で加熱する方が溶解性が低下する. (4) 180℃以上で加熱すると切断伸びは急激に低下する, (5) 加熟によって結晶化は起らない. などが明らかになり, これらから, PAIの加熱による硬化はポリマー主鎖及び分枝鎖中あるいは, それらの末端に存在する官能基間の反応による架橋の効果が大きく, また, 空気中で高温加熱するときはジフェニルメタン構造の熱酸化も影響することが分かった.
著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top