高分子論文集
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ポリプロピレンのフィブリル化と網目状糸条の形成
須加井 潔西川 宣明
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1987 年 44 巻 7 号 p. 515-521

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抄録

紡績単糸を平面展開すると, 各単繊維は網目状に配列する. ゆえに高延伸テープをフィブリル化して網目構造となし, 加撚すると紡績糸様の糸条が得られるはずである. ポリプロピレンの高延伸物と緩和熱処理物とのフィブリル化傾向を, 直接的な切裂力, 割裂長によって測定するとともに, 通常の結晶化度と対比することにより, 易フィブリル化条件ならびに製品としてのフィブリル安定条件を求めた. これらの分子量, 低分子物ブレンドなどと, フィブリル化傾向との相関を明らかにした. 例えば, フィブリル化傾向は, 延伸率8倍前後で急激に増大し, 10倍で安定化する. 一方緩和熱処理で, フィブリル化傾向はほとんど解消するが, 延伸率が12倍を超えると, フィブリル化傾向は消去しえない. 最も重要な点は, 易フィブリル化性を達成するとともに, 切裂の後はフィブリル化傾向を完全に除去することである. この矛盾する両性質を一つの連続工程で実現するため, フィブリル化度を指標として, 特に緩和熱処理技術の形成を行った.

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