1987 年 44 巻 7 号 p. 545-550
高分子量ポリエチレン (PE) 及び液体パラフィン (Pa) 混合物を種々の温度及び速度で溶融紡糸して, Paを有機溶媒で抽出したPE繊維に層状の微細孔を形成させた. その多孔質PE繊維の微細構造を見掛けの比容, 窒素吸着後の脱離による比表面積及び小角X線測定により検討した. 得られた多孔質PEはPaとの混合比 (C) が0.10~0.50のものを110~125℃の温度で6~50倍に引き伸ばして層状の空孔を形成させた. そのうち, Cが0.17と0.10で紡糸倍率が20~50倍の条件では約120m2/gの大きい表面積が得られた. 空孔とともに積み重なった層状構造からなるPE層は, Cの波少とともに薄層となり, 80-500Åの層の厚さが得られた. これらの孔の形態はほとんど立方体であり, 繊維軸方向の壁がfibril状であるため連通孔であった.