高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
液体アンモニアによる木材構造の変化
橋爪 吉則吉澤 秀二石井 忠浩矢島 博文半田 隆
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 44 巻 7 号 p. 563-571

詳細
抄録

木材の液体アンモニア処理に伴う構造変化をX線回折と誘電特性より調べた. 木材細胞間層はリグニンで充填された高次構造を有するため, 液安の木材の構造組織内への浸透が起こりにくく, アンモニア付加による安定なアンモニアセルロースへの結晶転換には加圧下での処理が必要である. 液安で膨潤した木材ではアンモニアとセルロースのメチロール基との間に強い相互作用が確められた. アンモニア離脱に伴いセルロース鎖の再配列により非晶化が起こり. メチロール基の回転配向に基づく運動は容易になった. リグニンは液安膨潤により可塑化され三次元構造が緩むため部分的に極性溶媒に溶解する. 液安処理後に溶媒置換した木材では, 乾燥後の結晶化度や収縮量の変化に大きな差を生じた. 高温で液安処理木材の熱安定性が低下することからも, このリグニン三次元構造の緩みが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事
feedback
Top