高分子論文集
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アクリルアミドを放射線グラフト共重合したポリエチレンの抗血栓性に及ぼす前照射線量とグラフト率の影響
林 和子福村 裕史山本 襄山下 岩男
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1987 年 44 巻 9 号 p. 681-688

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抄録

アクリルアミド (AAm) を放射線グラフト共重合したポリエチレン (PE) 表面の, 抗血栓性に対する最適グラフト条件を明らかにするために, 犬末梢静脈内にチューブ (内径3mm) を埋入して評価した抗血栓性に及ぼす空気中前照射線量及びグラフト率の影響を調べた. 水の接触角は, 線量に無関係にグラフト率28%において最低値23°を示した. 全体的な抗血栓性は, 1.8<5.6<3.6<7.2MRの順に大きくなり, 各線量ともグラフト率25%, 接触角26°においてピークが見られた. ESCAの光電子脱出角15°で測定したデータからのNls/Cls比は, これらの抗血栓性の傾向によく対応した. 表面粗さは, 線量及びグラフト率により変化し, これがNls/Cls比に現れたピークを高めていると判断された. ATR-IR分析から, 3.6MR系においては表面へのグラフト鎖分布が高いことが分かった. 7.2MR系に特有な表面の多孔性は, 抗血栓性に有利に働いていると考えられた.

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