ポリ塩化ビニル (PVC) にアラミド短繊維 (AF) を体積分率 (φr) で0.22まで充てんした試料について, 動的粘弾性測定, 曲げ試験, SEM観察などを行った. ロール混練時のせん断応力により, AF粒子の表面は損傷するが, 粒子はローロルの進行方向によい配向をしている. その結果, AFの充てん量が大きくなると, ガラス転移温度 (Tg) 及び相対弾性率 (Ec′/Em′) は大きくなる. この現象はロールの進行方向 (MD) の方が直交方向 (TD) に比べて顕著である. ガラス状領域におけるMD方向のEc′/Em′は複合則 (rule of mixture) からの計算値より大きく, TD方向の値は計算値に近い. また, 疑似的ゴム状態のTD方向のEc′/Em′はMooney式からの計算値より大きい. 曲げ弾性率の比はMD及びTD方向共に直線的に増加し, MD方向ではφr≤0.16でEc′/Em′と一致するが, TD方向ではわずかに大きい. また, AFをシラン系及びチタン系カップリング剤で処理したが, 充てん材とPVCとの界面の親和性を向上させる効果は小さい.