高分子論文集
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カルボキシル基を含有する高分子の磁性粒子表面への吸着挙動における分子量依存性
中前 勝彦中野 秀作谷川 聡
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1989 年 46 巻 6 号 p. 335-340

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抄録

カルボキシル基を含有するポリマーであるメタクリル酸メチルーアクリル酸共重合体 (P (MMA-AA)) のγ-Fe2O3粒子表面への吸着における分子量依存性について, 官能基を含有しないポリメタクリル酸メチル (PMMA) ホモポリマーと比較し, 次の結果を得た. (1) PMMAホモポリマー, P (MMA-AA) ともいずれの分子量においてもLangmuir型を示した. (2) どちらのポリマーも, 吸着等温線から得られた飽和吸着量は, 分子量の違いによってほとんど変化しなかった. (3) 分子量の異なる2成分の混合吸着では, PMMAの場合, 吸着初期において低分子量成分が優先吸着するが, 時間の経過とともに低分子量成分が脱着し, 高分子量成分に置き換えられ, 最終的に高分子量成分が優先吸着した. 一方, P (MMA-AA) の場合, 吸着初期において吸着した低分子量成分は全く脱着せず. 高分子量成分との置き換えは起こらなかった. このように官能基の有無により吸着量だけでなく, 混合吸着時の優先吸着性が大きく異なることを明らかにした.

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