高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
二硫化炭素を用いる塩化鉄 (III) 存在下でのメタクリル酸メチルの重合
岡田 幸雄
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 46 巻 6 号 p. 385-388

詳細
抄録

硫黄化合物の重合開始剤としての機能を調べるため, CS2によるメタクリル酸メチル (MMA) のラジカル重合について研究した. CS2は単独では熱あるいは紫外線照射下でも重合を開始しないが, メタノール中微量のFeCl3を共存さすと重合開始能を発現することを見いだした. 全重合の活性化エネルギーは9.1kcal/molであり, 重合は次の速度式に従って進行することがわかった. Rp=k [MMA] [CS2+FeCl3] 0.5. ただし, [CS2] / [FeCl3] ≒104. これらの結果より, 開始ラジカルはCS2とFeCl3との相互反応によって生成していることが示唆されたが, メタノールもその生成に何らかの役割を果たしていると考えられる (CS2とメタノールによってジチオ炭酸O-メチルが生成するのかもしれない).

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top