高分子論文集
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ポリアミノ酸とポリシロキサンから成るA-B-A型トリブロック共重合体膜の構造と低分子透過性
中島 俊夫木下 隆利滝澤 章辻田 義治
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1990 年 47 巻 5 号 p. 415-423

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抄録

A成分がポリ (γ-メチルL-グルタメート) (PMLG), B成分がポリジメチルシロキサン (PDMS) であるA-B-A型トリブロック共重合体膜 (MSiM膜) を調製し, 同膜の構造と気体の収着・拡散挙動を検討した. A, B両成分は同膜中においてミクロ相分離構造を形成し, さらにその界面領域でPMLG (A成分) のランダムコイル構造が誘起された. その結果, MSiM膜の二酸化炭素の収着挙動は, PMLG成分のヘリックス領域とPDMS成分の2相にPMLG成分のランダムコイル領域を加えた3相に律せられた. 一方, 二酸化炭素の拡散性はPMLG含率が高い (70vol%以上) MSiM膜では, このランダムコイル含率の増加とともに減少したが, PMLG含率が50vol%前後のMSiM膜では, PDMS相の高い拡散性に基づいて二酸化炭素の透過係数は著しく増加した. さらにMSiM膜の酸素・窒素の透過係数比は, PMLG成分のランダムコイル領域が収着・拡散性を強く律するPMLG高含率の膜において良好な値 (3.5~4.4) を示した.

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