高分子論文集
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キトサン/カルボキシメチルセルロース系コンプレックスの吸水挙動
市川 朝子吉川 悦雄窪田 英一中山 博中島 利誠
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1990 年 47 巻 9 号 p. 709-716

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抄録

キトサンと種々のエーテル化度のカルボキシメチルセルロースのギ酸水溶液から, ポリイオンコンプレックス膜を調製し, その吸水挙動について検討した. コンプレックス膜中のアミノ基とカルボキシル基のバランスが吸水性に重要な役割を果たし, それらが同数の場合に吸水性が極小となり, いずれかに比率が片寄ると増大し, 極端に異なる場合には自重の数百倍も吸水した. 浸漬水に電解質や非電解質を添加した場合, 低吸水性の組成のものは, ほとんど影響を受けないが, 高吸水性であったものは, 電解質の存在で吸水性が大幅に低下した. しかし, キトサンの比率が大の場合, 2価のカチオンによる低下はカルポキシメチルセルロース (CMC) の比率が大きいものほどは大きくなかった. 浸漬を繰り返すことにより膜中に残存する水溶性成分を除去することができるが, コンプレックス膜の組成は, ほとんんど変化しないことが示された.

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