高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
プラスチックシンチレータを用いた放射線センサ
田中 章小島 雄次
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 50 巻 6 号 p. 523-527

詳細
抄録
放射線の存在を検知する手段として, 安価で大面積化が可能なプラスチックシンチレータのγ線に対する光変換性能を調査した. シンチレーション色素を含有したプラスチック蛍光ファイバとプラスチック平板とを組み合わせたγ線検出部とAPDシングルフォトン検出器により, 137Csのγ線が線量率1mR/h程度から検出できることがわかった. この値はプラスチックシンチレーションファイバ単体の検出性能の10mR/hに対して, 約監桁感度が向上することを示している. この結果, プラスチックシンチレーション平板がγ線を面で捕らえ, 端面に蛍光として伝播されているものと思われる. 一方, 光パワーメータでは両者の光出力としての差が認められず, γ線の短いパルスはシンチレータでは蛍光変換されるものの, シリコンのフォトダイオードでは光を捕獲できないものと見なされる. また, 本センサを用いた場合, 人間が緑色を認識できる最小光パワ-lnWに対応する線量率は1R/hとなり, 原子力発電所などの作業現場で, シンチレーション光ファイバを直接可視化させるには, 数桁の感度向上が必要であることが判明した.
著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top