高分子論文集
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9′-置換スピロナフトオキサジンのフォトクロミズムに及ぼす高分子鎖の配向の影響
垣下 智成吉武 淳也松本 喜代一清造 剛
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1994 年 51 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

フォトクロミック化合物1, 3, 3-トリメチルスピロ [インドリン-2, 3' (3H) ナフト [2, 1-b] [1, 4] オキサジン] (TM-SNO) とその9'-置換体3種類をポリメチルメタクリレート (PMMA) 中にトルエンで溶解キャストさせたフィルムについて, それぞれUV照射後に出現する可視部極大吸光度の消色過程に及ぼす高分子鎖の配向様式と配向度の影響を速度論的に検討した. 製膜後, 各試料フィルムは無色であるが, UV (100W高圧水銀灯) 60s照射によって可視部約600nmに極大吸光度を持つ青色を呈した. それは室温暗所で消色し, 9'-ヘキサフルオロブロペントリマー置換体 (TM-Rf-SNO) のみは他と異なり, その速度が遅かった. いずれのフィルムも, この消色減衰曲線における吸光度 (A) の逆数を時間に対してプロットすると, 直線関係となり, この傾き (k) を消色速度のパラメーターとした. 各種延伸法における延伸倍率の増大はな値の増大を伴った. 以上の消色過程の解析結果を, 延伸フィルムの高分子鎖の絡まりの観点から考察した.

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© 社団法人 高分子学会
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