今までに, 12-アミノラウリン酸で有機化した粘土を用い, その層間でカプロラクタムを重合し, 粘土のシリケート層が1層ごとはく離して均一に分散したナイロン6-粘土ハイブリッド (NCH) を合成した. 今回, NCHの重合時に, ジアミンを添加することにより, ナイロン6中にシリケート層が数層積層して分散した新しいハイブリッド材料が合成できた. これをジァミン変性NCHと呼ぶ. ジァミン変性NCHの力学的性質は従来のNCHに比べ, 強度, 弾性率はやや低下するが, 伸びと衝撃強度が大幅に向上した. これはNCHの合成時に, 粘土のシリケート層が, ジアミンから生成したジアンモニウムイオンで架橋して積層し, この状態でナイロン6中に分散したためと考えられる. そのためジアミン変性NCHでは, シリケート層とナイロン6の界面が減少し, 双方のイオン相互作用が低下することにより, ハイブリッド材料の強度, 弾性率が低下したと考察した.