高分子論文集
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ポリエステルの分子構造と光分解性との関係. 鎖骨格にフェニレン基をもつポリエステルの光分解性
筏 英之棚橋 朗森阪 信之
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1995 年 52 巻 8 号 p. 472-477

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抄録

従来は, 材料の耐久性は重要な機能の一つとみなされてきた. プラスチック廃棄物による環境汚染が顕在化しだすと, 耐久性という至上課題がゆらいできた. そして, 分解性プラスチックが出現し, 大きな期待がかけられるようになった. ポリ乳酸などの生分解性ポリマーは, 光エネルギーの吸収によっても分解することがわかった. 本報では主鎖骨格中に芳香環構造を含むポリエステルであるポリエチレンテレフタレートの光分解性を測定し, ポリエステルの光分解性と分子構造との関係を調べた. UV光源を使い, ポリエチレンテレフタレートフィルムにUV照射を行い, 照射によるゲル形成, UV吸収スペクトル変化, IR吸収スペクトル変化, 主鎖切断数などを測定した. ポリエチレンテレフタレート分子はカルボニル基を含むが, 同じポリエステルであるポリ乳酸の光分解速度と比べると遅く, 光分解性の抑制はフェニレングループによると考えた.

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