抄録
簡単な分子の液体, 配向無秩序結晶, 安定結晶について断熱型熱量計を用いた熱容量測定と等温下エンタルピー緩和の追跡, また3,3′-ジメトキシ-4,4′-ビス (2,2-ジフェニルビニル) ビフェニルについて示差走査熱量計を用いた結晶核生成の追跡を行った. その結果に基づき, 過冷却液体や結晶における (ガラス転移に関係した) 分子再配置過程は古典的熱活性化過程であること, エンタルピー緩和関数の非線形性は平均緩和時間の非アレニウス性に基づくこと, 低温無秩序配置系はある種の秩序クラスター凝集構造を持ち, αおよびβ緩和過程が常に対として存在すること, さらに結晶核生成速度はβ緩和時間に支配され, ガラス転移温度以下でも進行することを述べる. さらに, α過程に対して“クラスター内分子再配置”モデルを提唱し, α過程緩和時間は一般的認識と異なってカウツマン温度でも発散しない可能性を指摘する.