高分子固体の気体収着およびそれに伴う膨脹挙動に見られる等温ガラス転移について, これまでに発表してきた理論的および実験的研究にその後得られた知見を加えて総括的に検討した結果をまとめた. ガラス状高分子の気体収着モデル (二元収着モデル) への低分子可塑化効果の導入とそのモデルの実験的検証を行い, 収着等温線の形状と等温ガラス転移の関係を明らかにした. また, ガラス状高分子の膨脹現象を拡張した二元収着モデルに基づいて理論的に考察し, 収着膨脹実験で確認された等温ガラス転移と比較検討した. その結果, ガラス状高分子中の気体分子は二つの収着モード (HenryまたはFlory-Huggins溶解とLamgmuir収着) から成りそれらは異なる可塑化能を持っと考えることによって, 高分子/気体系の収着および膨脹挙動に見られる等温ガラス転移が矛盾なく説明できることを明らかにした.