高分子論文集
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アルカリケイ酸塩ガラスの構造とダイナミックス
ガラス転移, 緩和現象と混合アルカリ効果
巾崎 潤子岡田 勲樋渡 保秋
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1996 年 53 巻 12 号 p. 774-787

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抄録

アルカリケイ酸塩 (主としてLi2SiO3系) について, 分子動力学シミュレーション (MD) を行い, ガラス転移点近傍での構造とダイナミックスの変化について研究を行った. 転移点近傍での酸素のパッキングの飽和に対応して, 近距離 (配位多面体) 構造の幾何学的飽和が観測された. このような転移点以下の温度での構造変化に伴い, 通常の拡散から, ジャンプ運動への移行が観測された. また, 中間散乱関数に見られる緩和挙動に着目し, ガラス転移点近傍でのα緩和における, stretched-exponential (拡張指数) 型の関数型が, ジャンプの待ち時間分布に関係することを明らかにした. α緩和の波数ベクトル依存性などには, 空間のフラクタル性の役割も大きい. LiKSiO3系における「混合アルカリ効果」の機構についても検討し, カリウムイオンとリチウムイオンのジャンプ経路が空間的に独立で, 混合系では相互に分断しあっていることを明らかにした. また, この経路中でのジャンプの特性について検討し, 連動ジャンプの「混合アルカリ効果」における重要性を指摘した.

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