1996 年 53 巻 12 号 p. 869-873
ビベンジル, trans-スチルベン, およびトランの3,4′-および4,4′-ジアミノ誘導体とイソフタル酸クロリドならびにテレフタル酸クロリドとから低温溶液重縮合法により合成した12種の芳香族ポリアミドの示差走査熱量測定 (DSC) を行い分子構造とガラス転移温度 (Tg), 結晶化温度 (Tc), ならびに融点 (Tm) などとの関係を調べた. 3,4′-系のジアミンからのポリイソフタルアミドは非晶質であり, 明瞭なガラス転移温度を203~272℃に示した. 3,4′-ビベンジル構造をジアミン成分に含むポリテレフタルアミドは, TgとTcの両者が存在し, 前者は203℃, 後者は235℃であった. 一方, 高結晶性の4,4′-系のポリテレフタルアミドは, TgおよびTcのいずれも示さず500℃以上の温度で融解した. トラン構造を含むすべてのポリアミドは300℃付近からDSC曲線に幅広い大きな発熱ピークを示し, N, N-ジメチルアセトアミドなどの溶媒に不溶化した.