射出成形品におけるウェルドラインは外観上しばしば問題となる. しかしウェルドラインを外観不良という観点から研究した報告は少なく, 未だその形成過程については不明瞭な点が多い. そのため勘や経験による成形条件やシボ加工, ゲート位置の変更などにより対策を施しているのが現状である. そこで我々は, ウェルドラインの見え方について単純な形状の成形品を用いて研究を行い, 成形手法として一般に知られているウェルドを目立ちにくくする方法を, 物理現象としてとらえる試みを行った. その結果, ウェルドの目立ちやすさは, その長さ, 深さによって表され, ウェルド長さには伸長粘度および表面張力が, ウェルド深さには比熱および樹脂の表面温度降下速度が影響していることが分かり, 外観不良としてのウェルドラインの予測の可能性を示した.