プラスチックレンズを種々の条件で射出成形し, レンズ面形状に及ぼす成形条件の影響を検討した. 樹脂にはポリメチルメタクリレート (PMMA) を用い, レンズ形状は球面メニスカスとした. 成形されたレンズの面形状を接触式測定機によって高精度に測定し, レンズ面の金型面からの変化量Δ
zを求めた. また計算により, 変化量Δ
zを近似球面成分Δ
fと同球面からの偏差成分Δ
gに分離し, 同時に同球面の曲率半径
RLも求めた. さらに金型面に対するレンズ面の曲率半径
RLの変化率αを算出した. その結果, 成形条件を変化させた場合, Δ
fが大きく変化するのに比べて, Δ
gの変化は微小であった. これより, 成形条件の変化によるレンズ面形状の変化は, その球面成分の変化が支配的であることがわかった. また, 変化率αのレンズ両面間の相関を調べた結果, 両者は線形関係にあり, 相関式はレンズ形状ごとに固有であった. これらより, 成形条件の変化によるレンズ成形品の変形モデルを提示した.
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