1996 年 53 巻 6 号 p. 375-380
ポリエーテルエーテルケトン (PEEK) およびポリパラフェニレンスルフィド (PPS) 結晶 (共に斜方晶Pbcn) は, 単位胞の大きさは異なるものの, 単位胞内での分子鎖パッキングの類似性が高い同族ポリマーである. 本報では, これらのブレンド試料を作製し, 透過型電子顕微鏡観察を行った. 各ホモポリマーあるいはブレンド (各成分のフェニレン環数1: 1) の溶液を加熱したスライドガラスの間にはさみ, 溶媒の蒸発と同時にスライドガラスをずらすことによりずり変形を与え, 一軸配向の結晶性薄膜を作製した. defocus contrast法による明視野観察, ならびに暗視野観察により, 用いた3種類の試料は各々ずり方向に並ぶフィブリルを形成し, 同時に積層ラメラ構造を呈した. 電子線回折により, ホモポリマーと同様にブレンドも斜方晶であると予想され, ホモポリマーに対応させて指数付けを行った結果, ブレンド結晶の格子定数はホモポリマーのどちらとも異なっていた.